50歳を過ぎると人生を逆算するようになるのか、アルファロメオ MiToを降りた(2018)あとは、短い期間で興味のあるクルマをとっかえひっかえ乗り継いでいこうと考えていた。残りの人生で楽しめるクルマの台数は決して多くない!と気づいてしまったのである。しかしそういう「とっかえひっかえ」は、どうも筆者の気質ではないようだ。いちど気に入ると壊れるまで手元に置いてとことん付き合ってしまう(楽器もそうだ。楽器を売った経験がほとんどない)。
先日の車検をきっかけにアバルト プントエヴォことプン太郎とは長く付き合う覚悟みたいなものが生まれつつある。導入当初は「ま、2−3年乗れれば……」というつもりだったのだが。
この心境の変化はなんだろう。多分来春訪れる状況変化が呼び水になったようだ。2021年春の息子の就職を機にロドっちはいなくなり、1台体制に逆戻りする。同時に大排気量FR車に乗りたい欲望が沸々と筆者の中に湧き上がっている。順当に考えればロドっち不在の穴をアメリカン大排気量自然吸気FRで埋めるわけだが、そもそもダウンサイジングターボの正反対とはなにか?を考えた結果が「アメリカンマッスルV8いいじゃん!」なわけで、当初それは1台体制前提のプン太郎リプレイス案だった。だがこれまで筆者がツーリングなどで楽しんできた行き先や経路を改めて思い返してみると、プン太郎(あるいはMiTo)のサイズだからこそ楽しめる道行きだったと気づいたのだ。だって極端な話、田舎の農道を横幅1,800mm代のV8グルマでゆっくりと走って楽しいか?という話である。生き生きと走って楽しめる道路や状況が違いすぎる。マッスルカー乗ったことないけどさ。となると、マスタングでもチャージャーでもいいけど、大排気量V8を主力戦闘機にリプレイスしてしまったら、「戸締まりしっかり、どろぼうがっかり」の看板付近とか、七北田ダム北側の荒れた舗装のワインディングとか、そういう狭くてくねくねした道はあきらめろ、ということになる。
それは現在の自動車人生をリセットするようなものではないか。ちなみに以前にもリセット案件があって、それはプジョー 307SWにノックアウトされて、輸入車ライフを始めた時である。あの時ほどのインパクトが再びオレの身に起こるのか……!
いやいやちょっと待て。単純にプン太郎は保有したままにすればいいんじゃないか。そもそも当家の狭い駐車スペースにアメリカンマッスルカーなど置いたら、まずドアを開けられない。降りられないし乗れない。そうだ!プン太郎と共存してもらおうじゃないか。
そう考えると、もっと労わりつつというか、もっと大事にというか、端的に言ってもっと長持ちするようにプン太郎と接しなければ、と思うようになった。2020年4回目の車検で20万円だったら、2022年には30万円、40万円も視野に入ってくる。だがそこでめげてはいられない。そうなったら日々のメインテナンスでなんとかしようじゃあないか。いわゆる分散支払い型である。
まぁ程度の良いV8エンジンを搭載したクルマとなると、中走行車で600万円なんてのもザラで、役付きモデルだとあっという間にイッセンマンエンなんてことになる。それ、家をリフォームするかV8を買うかみたいな2択ですから。こりゃあ無理ですかね。