折々に書いてきた当スタジオのアバルト プントエヴォの足周り。2020年7月の右足スプリング破断事件以来、「以前よりも車高ダウン」「路面ショックが凶悪になった」「直進が神経質」の三重苦を感じていた。そして2021年9月、それらを改善する時がやってきた。現在株式会社イデアルさんに入院中である。
今回の入院で依頼したのは下記の7点。
1.フロントアッパーマウントブッシュの交換
路面からの入力凶悪化の原因の一端ではなかろうか
2.アライメント調整
神経質な直進が緩和されるといいな
3.エンジンオイル交換
めっちゃサボっていた
4.タイヤ交換
息子のロードスターが履いていたブリジストン アドレナリンRE003を移植
5.サイドブレーキ引き代の調整
効きが悪い
6.リアバンパーの塗装剥がれ処置
入院前日に発見!ヒビが入っていて小さな剥落部分もある
7.エアクリーナー交換
むふふ
加えて2020年に交換した純正スプリングの品番の再確認もお願いした。昨年交換後に「なんか、以前よりも車高下がってる。これ、本当に品番合ってる?」と質問した際は「年次改良で仕様がしれっと変わっているケースでは?」と回答を得ていた。もしそのとおりだとしても、乗り心地の悪化は(筆者の中では)明白なので、フィアットが仕様を変えてしまったのなら、社外品に手を出してでも今の乗り心地は改善しなければならない。プン太郎の前に乗っていたMiTo 1.4T Sportには早くからアイバッハの、(一瞬純正に戻して)次いでマニエティマレリのローダウンスプリングを入れて悦に入っていたが、よくある話で、アピアランスはアップしたが、率直に言えば粗い乗り心地になっていた。ま、それでも見た目を取ったわけですが(笑)。そんな苦行が常体化していた2018年1月に、走行25,000kmのプン太郎に乗り換えた。するとどうだ、入力の角はほどよく丸めてあり、足の上下動の収束も速くお釣りも皆無。アバルトと言えば速いことが正義、そのためには乗り心地などどうでもいいという社是なのかと思っていたが(実際595や695の一部のモデルはそう言っても過言じゃない)、プントエヴォの足さばきは、そういう辛口の乗り心地のメリットや魅力を知っていつつも、安楽さもある程度必要と割り切れる、「単に硬いだけの足はもうちょっと……」という人のためのGT的セッティングになっていた。前述のMiToでの苦行に感覚がマヒしていた筆者ですら「これだ!これが理想の足の反応だ!」と狂喜したものだ。よくよく思い返すと、プントエヴォのデフォルトの味わいは、兄弟車MiTo QVのツルシの状態の足周りに近い味わいだったと思う。あたら甘い夢など見ずに、「こいつはGTだから」と見切った時に初めて正しく味わえる足のセッティングなのだ。そんな甘美な足の動きが失われて1年が過ぎた。とにかく、ケンシロウは愛を、筆者は理想の足の反応を取りもどさなければならない。
上記1-6をあれこれ打合せのうえイデアルサービスフロントのTさんに預けて数日後、さっそく連絡が入った。アッパーマウントブッシュとアライメントだけで乗り心地と直進安定性の改善が図れるか、Tさんも太鼓判を押せない雰囲気があった。それは仕方ない。なにしろ判定基準は筆者の主観なのだから。一応選択肢候補として、中古の純正スプリング+ダンパーのセットを探して、(例え中古でも)ひととおり刷新してしまうという案もあった。しかしそんな都合の良い出物は見つからなかった。やはりブッシュとアライメントで様子を見るしかないのか……。
という話のあとに爆弾が控えていた。品番再調査の結果、2020年7月に装着したスプリングは、なんとプントエヴォスーパースポーツ(プントエヴォの最終バージョンのオプション最初から乗っけましたバージョン)のものだった!うーむ。素のプントエヴォとSS、仕様差の詳細は不明だが、品番が違う以上仕様にも違いがあるとみて良かろう。不必要に下がってしまった車高などの諸悪の根源が仕様違いのせいだとするなら、これは無視できない。
これを平和裏に解決するには少々事情が複雑になる。1年以上前のパーツのことなので、改めて正しいスプリングを取り寄せるとしたら、当然部品代は支払わねばなるまい。が、引き下がったとは言え、納車時に「これ、おかしくない?」と筆者は指摘していたのである。これ以上は詳しく書くまい。あれこれTさんと相談のうえ正しい品番のスプリングを取り寄せ装着することとした。ブッシュ+スプリング+アライメント。これでダメならダンパーが死んでることになる。
もうひとつショックだったのはリアバンパーの塗装剥がれである。預ける際のTさんの目視診断では「これ、どこかにぶつけてますね」。がーん。まっっったく自覚が無いんですけど!超微速でぎゅうっと押し付けてしまったか、当て逃げか。原因はともかく、再塗装するとなるとプントエヴォのリアバンパーは面倒くさいらしい。リアディフューザーとリターンランプ+リアフォグランプユニットを取り外す手間がかかる。「ざっくり7-8万円」という見積りを聞いた瞬間に見送り決定。これはタッチアップかなにかで誤魔化すしかない。というか誤魔化しきれないので、またお金を貯めるしかない。とほほ。
いろいろ書いてきたが、見通しは明るいと思っている。ここ数ヶ月、プン太郎で走るたびに「あーあ、なんか、この足の動きがなぁ……」と嘆息していた。もっとコクのある懐深いあの乗り味を覚えているだけに、プン太郎に乗るのが憂鬱に思える時すらあった。だがもうさすがにそんなどん底の状態からは改善されるだろう。加えてエアクリの交換で、3,000rpm以下の反応も改善されるはず。ぐふふ。台風直撃の今週末、プン太郎が生まれ変わる!(はず)。