パンク事案の報告を上げたばかりのスタッドレスタイヤGRIP MAX "ICE GRIP X"。そのパンク事案発生日の夜に仙台では今シーズン初の積雪があり、さっそく性能チェックができた。雪上性能の報告と、装着1週間のドライ路面での印象もまとめて書いてみようと思う。
雪上性能
積雪前夜は凄まじい強風で、空気はからっからに乾燥していた。翌朝は曇り空。数センチ積もっていた雪はさらさらのパウダースノー。筆者が走ったのは7:30から8:30くらいの時間で、融雪剤はまだ散布されていなかった模様。仙台市郊外の道路状況は、圧雪(にチェーン痕)か轍状に溶けてアスファルトがすでに見えている状態。市街地はすでにヘビーウェット。
さて雪上性能をチェックと言ってもモロに通勤時間帯の公道である。オーバースピードでの旋回やパニックブレーキなど試せるわけもない……のだが、交差点に進入しようとした筆者の1台前にアンポンタンがいたのでパニックブレーキは早速試すことができた(泣)。40km/hくらいからの急減速。ICE GRIP Xを履いたプン太郎は進路を乱すことなく、またABSが作動することもなく停止した。ズズズズズズズズズズと途切れることなく制動し続ける様子は、体感的には効いてる実感となるが、ABSが動作するほどには制動力が強くないという意味でもあるので、この点は微妙。
以上の1事案だけで雪上性能のすべてを断ずることはできないが、ICE GRIP Xは仙台で履いている分には、さほど不安はない。横グリップは未検証だが、さほど強くないだろう。そう思える縦グリップ能力ではある。ヘビーな圧雪や凍結路面ではさらなる慎重さが必須だろうが、とりあえず仙台とその近郊でなら、死なずに帰宅できる能力はあると見た。
ドライ路面性能
ウォールがやや積極的に変形して力を逃すタイプ。速度によっては旋回中に腰が少し落ち着かない印象がある。踏ん張ってグニュッといって、さらにもう少し踏ん張る……のふるまいがわかってしまえばどうということもない。雪上同様に縦方向にはそれなりにグリップ力はあって、加速・制動ともに不満は感じない。
ロードノイズは大きい。60km/h付近から上で一段と音量があがる。一方でまた左折時だけはノイズが消える。アシンメトリなパターンのせいだろう。左折時のタイヤの捩れ具合が、ノイズ発生源となっているタイヤ中央から右ウォールを浮かせるからだと想定している。全体的なノイズ音量が、この左折時くらいなら良いのに。
総評
こんなICE GRIP Xが、一本8,000円程度。あとは減り具合次第だが、ここまでにレポートした性能でこの値段なら、毎年買い直しても痛痒には感じまい。先にレポートしたような品質に疑問符がつくような事例もあるにはあるが……。性能云々の前に、聞いたこともないそんなメーカーのタイヤに命は預けられん!という考えもあるだろう。それを否定はしない。また「仙台とその近郊でなら」と書いたように、もっと雪深い地域では評価も変わるだろう。だが、こと仙台とその近郊に限って言えば、選択肢のひとつに数えても良いと思う。もっと雪深い地域での使用や、タイヤで博打を打つのはイヤだなんて方は、ミシュラン X-ICE、ブリヂストン ブリザック、コンチネンタル コンチバイキングなどを購入することをオススメする。