午前中に所用があったある平日。良い天気だしノーマルタイヤを履いているうちにプン太郎をできるだけ走らせてやりたい。あまり詳細を決めずに、漠然と川崎町から青根温泉くらいまでR457を南下してみた。
わざと遠回りして最初の経由地点の川崎町へ。自宅から裏道とも呼べる極狭市道を走ってR48へ。さらに作並温泉方面へ西進して熊ケ根で秋保温泉方面へ曲がる。この道はすでにR457だ。秋保から川崎町への区間は、滅多に前走車、後続車に出会わない。出会っても周辺集落の住人らしく、ほどなく右左折していなくなってしまう。だからマイペース走行ができる。R457でも屈指の貴重な区間だ。
自宅出発が正午ごろだったので、秋保のあたりですでに空腹に。ところが食事処もコンビニも無いんですな、この辺りは。前述のとおり交通量が少ない上に人口密度も低いのだから、それも当然なのだ。秋保、川崎町、さらにその先の道路の記憶をたぐっても、やはりこの日の筆者の腹具合にマッチするお店を思いだせない(ヘビーな食事のお店はいくつかある)。結局ファミリーマート宮城川崎町店でサンドウィッチと野菜ジュースを買うことにした。
筆者はコンビニ駐車場に停めた車内であれこれ食べるのが苦手。開封だけして走り出し、信号待ちのたびにモグモグ。そのまま川崎町内を抜け、旧川崎町立前川小学校(2020年3月閉校)の角から町道に逸れR457に合流。青根温泉を目指す。
川崎町からのR457は概ねペースが落ちる。初冬の晴れた午後、急ぐ用事もない筆者は大人しく走った。ホントです。おかげでいつもよりも周囲の風景に目が行く。やけに視界が開けているが、それはきっと木々の葉が落ちているからだろう。どうせすぐに雪景色になる。
青根温泉に到着。無料駐車場にプン太郎を停める。晴れていれば、この駐車場からは仙台市内はおろか、遠く牡鹿半島まで見渡せる。実際牡鹿半島の先端にある御番所公園の展望台からも蔵王連峰は見えるのだ。この日は海に雲がかかっていて、残念ながら牡鹿半島は見えなかったが。ぐるりと周囲を見ると、それぞれの温泉宿の駐車場には思った以上にクルマが停まっている。旅館業の人たちの生活を考えるとたいへん喜ばしいことではある。コロナ禍が一段落しているように見える昨今、みんな出かけたいんだよなぁ。何かにかこつけて呑み会を開いていた頃が懐かしい。それはともかく、思いついて青根温泉と峨々温泉を結ぶK255に分け入ってみるも、途中の青根自然公園・古賀政男記念碑までで冬季通行止め。はい、もちろんわかってましたよ。でも一応来てみるんですよ。昭和歌謡の名曲「影を慕いて」は、古賀が青根温泉に滞在中に生まれたのだという。残念ながらどちらにも興味の薄い筆者は、くるりとUターン。
R457へ戻り蔵王エコーライン入口方面へ進む。さらに東進した先にある遠刈田温泉から、もう少し南下してコスモスラインの南端へ合流というプランも考えたが、そもそも散歩程度のツーリング、潮時と考え遠刈田温泉から村田町内へ戻ってK31で帰ることにする。
道中思いついて「村田歴史みらい館」に立ち寄る。元同僚がここで働いているのだが、不在。ただし戻ってきている途中だそうで、館内を見学しつつ待つことしばし、無事に会うことができた。別になにを話すわけでもないが、とりとめない近況報告やよしなしごとを話す時間のなんと貴重なことよ。コロナ禍以前/以後の価値観や生活様式の変化は如何ともしがたいが、こういう一見意味のないおしゃべりが人間同士に必要なことは不変だと思う。会えて良かった。
K31を仙台に戻る。初冬ともなれば15時を過ぎればもう夕方だ。西日を背にして走るK31は新鮮。菅生周辺の里山の風景が美しい。その後はいつもの経路で帰宅。ツーリングというよりも「自動車で行く散歩」だったな、これは。休日の午後の過ごし方として、圧倒的に正しい4時間だった。
約4時間/109km