年初めなので宮城県牡鹿半島をプン太郎で走ってきた。免許取得直後から折々に走りに行っているのだから、かれこれ35年近くのお付き合い。それなのにまだまだ知らない道があった。そもそも冬季のツーリング目的地は海沿いをメインに考えている。筆者の住む山沿い地域に比べると圧倒的に雪が少ないからだ。今年も牡鹿半島だけでなく、石巻市周辺の平地は軒並み道路はドライだった。例外はもちろんあったし、この日は風が強い日で、終着点御番所公園は極寒だったが……。
朝8時に自宅を出発。プン太郎の外気温計が-8.0℃とジョークを飛ばしている。夏冬あるあるだ。近所のSSでハイオクを満タンにし、R457を北上し、大和町 > 東松島町などなどの複雑な町村境界線を縫いつつE45三陸自動車道の鳴瀬奥松島ICを目指す。特に大和町内の道路の雪轍が酷く、エンジンルームのアンダーカバーを100回くらいこすりつつの道行き。ごめんよアンダーカバー。
定点観測地点
雪が深くて
いつもの撮影ポイントへは
行けず
E45を石巻女川ICで降り、恒例の石巻市真野地区パトロール。今年も穏やかな冬枯れの田園風景に大満足。
K234+R398に乗り女川を目指す。シーパルピア女川に立ち寄りトイレとお土産購入。蒲鉾店「高政」であれこれ。
買い物を終えてシーパルピア内をうろうろ歩いてもまだ10:00。だが驚くべし腹が減った。朝食を食べてきたのに……。いつもなら「腹が減ってるのに飲食店が開いてない!」と、この世の地獄を味わうところ。しかし偶然にもこの日は久しぶりにおにぎり持参ツーリングでもあって、高政ですでに昼食用の高級笹かまぼこを入手済み。あとは隣のコンビニでジャンボフランクでも買えばOK、牡鹿半島に分け入って10-15分走れば、風光明媚な小さな浜にクルマを停めて、海を見ながらのオシャンティーな昼飯が自由自在である。
コンビニでフランクフルトやお茶を仕込む。腹は激減りであるが、女川港の定点観測も怠らない。さっそくK41を小乗地区から時計回りに牡鹿半島に入っていく。
お目当ての浜は割と近い……近かったはず……、腹、減った……と無我夢中でプン太郎を進めるのだが、道路工事が山盛りで仮設信号機や警備員さんに数kmごとに停められる。昨新年の牡鹿半島ツーリングで、同じアプローチをしたところ、まんまと工事通行止めを喰らったエントリーを覚えておられるかもしれない。幸い通行止めは無かったが、その代わりの交互通行案件なのだ。腹減ったー!
地名で言えば大石原浜の小さな浜辺脇にプン太郎を停め、豪華昼飯にありついた。寒いが冬特有の透き通った青空と、陽を受けた海水がキラキラと輝く。こうなると塩にぎりでも十分うめえ。腹もふくれ、たっぷり休息したのにまだ11時前(笑)。GoogleMapでこの後の往路を精査。今走っているK41を南下し続けると、結局は旧コバルトラインに合流するか、鮎川経由でK2を南下するしかない。そんな幹線道路ばかりの、それこそ30年前から何度も走っているコースはもう充分だ。非効率でも海岸線に沿って走る細い道はないのか?と探すと、ちゃんとあるじゃないか、これが。
で、今回はこの小さな漁村を結ぶ細いワインディングが白眉。アップダウンと左右旋回が特盛……いやメガ盛りの楽しい道なのだが、林の中を走っている関係で日影が多く、自然と融け切らない圧雪・凍結路が方々に。40km/hでコーナーに入っていけば、そのままつるっと滑って崖下へ落ちるか、崖壁に斜めに突っ込んでいくような路面があちこちにあった。おかげで走行ペースは遅くならざるを得なかったが、このファンキーなコースは夏に再訪決定である。面白い。
こういうところもあるけど……
こんな素敵な景色や……
こんな胸アツ集落も
とうとう旧コバルトライン現K220に合流してしまう。だがコバルトラインはこの最南部がいちばん楽しいのだ。道路幅がたっぷりあるのにクネクネするという、ヘンタイ向けパート。もっともこちらもやはり日影は圧雪・凍結で危険な状態なので、踏みっぱなしというわけにもいかない。最後は圧雪ですらない新雪ふかふかの雪上走行になってしまったが、無事に御番所公園に到着。人がぜんぜんいないぞ。
3年連続でお参りすると
家が建つと言われる
金華山
晴れている日の御番所公園からの眺めは最高に美しい。定点観測のごとく例年と同じような画像をたくさん撮影。ふと南東の山際に目を凝らせば、なんと蔵王が見えるではないか!つまりそれは上空の風が強いということでもあって、絶えず風に吹かれて圧倒的に寒い。展望デッキに佇む筆者の体感温度は氷点下5度くらいじゃなかろうか。滞在10分くらいで早々に復路につく。
例によって復路は半島の西側(湾内側)のK2を走る。無意識にもう何年もそうしている。実は遠い昔、逆に走ってみたことがあるのだ。夕暮れの曇り空の下前後に走るクルマの影もなく、冬の空はあっという間に暮れてゆき、えらく心細い思いをした。あれはハタチくらいの頃、シティターボ(初代)だったなぁ。以来、牡鹿半島の夕暮れ時の反時計回りコースを無意識に避けているように思う。次回はそのトラウマ克服をテーマにしてみよう!と、このテキストを打っている今ならそう言えるが、この日は順当に西側を走るK2で北上。牡鹿地区にある慰霊碑やコミュニティ図書館に立ち寄ってみる。いつも人気がないのだが、地域の人はどう見ているのだろう。コミュニティ図書館なんてすばらしい取り組みだと思うのだが。
おしかコミュニティ図書館の中。
マンガも小説も
ノンフィクションもあります
半島の付け根まで戻ってきた。そしてここからの復路に初踏破区間を設定してみた。R398と合流後、例年だとそのまま石巻市街地方面へ向かうのだが、今回は逆に女川方面へ。途中左折して向かう先はなんと朝に立ち寄った真野地区。知っているポイントの位置関係が曖昧なので、こういうのが意外で楽しい。交通量も少なくて具合が良かった。R398を石巻市街地方面へ走ると、交通量が多くて閉口してしまうのだ。今後の定番になるだろう。真野地区・稲井小学校付近でR398に合流すると、あとは再びE45へ乗るばかり。
その先の復路もいくつかバリエーションを考えてみた。しかし山方面のワインディングではまた雪の影響を受けるだろうし、結果的にかなり遠回りなので距離を重ねてしまう。翌日は仕事であることを考慮して、シンプルに往路をなぞって帰ってきた。病気ってやーね。1日中お日様が出ていたようで、朝方はあんなにアンダーカバーをいじめた大和町内の凶悪な轍はほとんど融けていた。そのことはめでたいのだが、雪が融ければ水になる。濡れた路面を走れば後続車に盛大に跳ね上げることになる。タンクローリーの後ろを泥水のシャワーを浴びつつ帰宅。さすがにこのままではオーナーとしてどうなの?レベルの汚れに、久しぶりに安物の高圧洗浄機を稼働させ、最低限の汚れだけはなんとか落とした。
7時間/229km
数えきれないほど通った牡鹿半島にあんなに楽しい未踏破道路があったとは……。雪がなくなったらまた走ってみよう。そしてごめんねアンダーカバー。タイラップを常備してるからいいよね!という問題ではない。