もはや改善などという表現では足らぬ。フロント足周りのメンテナンスを終えたプン太郎は、生まれ変わった。2018年1月に購入した当時(走行24,828km)と同じか、あるいはさらに良くなった。
2021年9月のメンテナンス_90,771km
1.フロントアッパーマウントブッシュの交換
ELASTIC PAD 52027765 14,600(@7,300)円
SPRING 52016894 43,800(@21,900)円
2.4輪アライメント測定・調整
技術料 32,500円
3.エンジンオイル交換
サービスクーポン使用のため費用かからず
4.タイヤ交換
技術料 20,000円
5.サイドブレーキ引き代の調整
技術料 2,600円
6.リアバンパーの塗装剥がれ処置
処置見送り
7.エアクリーナー交換(社外品持ち込み)
技術料 10,400円
8.エアコンポーレンフィルター交換
AIR FILTER 55702456 7,500円
技術料 2,600円
他消費税と値引き
合計 139,832円
1年前のスプリング交換時に部品番号をイデアルさんが誤指定した件は既報のとおり。今回「正しい」パーツの再取付に関する費用は上掲のとおりである。大人の対応をしていただいた、とだけ書いておく。これ以上詳述しない。わかる人にはむしろこっちのデータの方が興味深いのではないか。4輪アライメント調整の結果である。

今回のメンテの目的はシンプルで「以前よりも車高ダウン」「路面ショックが凶悪になった」「直進が神経質」の三重苦の解消である。車高とショック処理はアッパーマウント部分のブッシュ(エラスティックパッド)とスプリングの交換で、直進の改善はアライメントで。オイル交換やエアコンフィルターは必須とは言え優先順位は高くなかった。

息子のロードスターからタイヤだけいただきー

純正エアクリーナーと汚れたフィルター

問題のスプリングとフロントアッパーマウントエラスティックパッド
結果は冒頭に書いたとおり。イデアルさんの敷地から出る際に、さっそく段差があるのだが、そこを超微速で乗り越えた瞬間に「こ、これは……。当たりでは?」と体感できた。そのまま卸町の地獄のように荒れまくった舗装道路を経由して松島のHarry's Junctionまでハンバーガーを食べに行ったのだが、感涙で前が見えなかった(比喩です)。

プントエヴォもアバルトモデルらしく、KONIのショックアブソーバーなどを含んだ「エッセエッセキット」なる純正オプションパッケージがあった。みんなどうせオーダーするでしょ?とばかりに、そのキットを最初から取り付けさらに出力もちょい嵩上げした状態で販売したモデルが「スーパースポーツ」である。2020年7月に取り付けてしまったのは、このエッセエッセキットに含まれたスプリングだった。KONIのダンパーや18インチホイールなども混みでチューニングされていたはずで、それを取り付けた「素のアバルト プントエヴォ」の乗り味ははっきりと悪化した。技術的に正しく説明できる自信がないが、端的に言ってスプリングの減衰力が足りないのだ。伸びも縮みも。だから入力ゼロの状態でフロントの車高は下がってしまったし、容量を超えた路面からの入力はモロにボディにガツンと伝わったし、純正17インチホイールもバタついて戻るのに時間がかかった。当然そうなるとエラスティックパッドことマウントのブッシュもダメージを喰らい続けたことだろう。
こんなの、オレの知ってるプントエヴォじゃない!と特にこの半年くらいは悶々としていた。おまけに直進もあやしくなってきた。「やっぱりこいつはGTなんだな!」と誰でも得心できる盤石の直進性能をプントエヴォは本来持っていた。曲がりたがらないのではなく、旋回する瞬間、無意識レベルでハンドルを動かしてもきちんと応答を返してよこす機敏さも同居する絶妙のバランスを保ちながら。それがいつの間にか不必要なほど轍に反応し、旋回後直進に戻った時の安楽さも失われていた。仙台郊外の中途半端な舗装路では、常にハンドルを押さえ込むような意識が必要なくらいだった。
スプリングとマウントのブッシュの交換によって、路面からの入力処理は適正(かそれ以上)に実行されるようになった。2週間前までは底づきを避けるために、目を皿のようにして路面を読み、挙動不審を疑われるレベルで白線内を蛇行してありとあらゆる段差や穴ぼこを避けていたが、交換後は常識的な舗装の荒れ程度はすべてストンと軽く収束させる。フロントだけを処置して、返って後ろ足の劣化が顕になってしまうのでは?と秘かに心配していたが、それもなかった。

これだよ!これが正しい車高だよ!
加えてアライメント調整の霊験あらたか。直進安定性を確認するために、田んぼの中を数km続く直線を走ってみたのだが、一瞬ハンドルの存在を忘れた。ただ腕をハンドルに置いているだけで、クルマが勝手にまっすぐ走っていく。そういう感覚を得られた。それでいて前述のような、すぐに機敏な旋回動作に入っていく準備は常にできてもいる。
納車その日からさらに二日間、あれこれ走ってみたが瑕疵は見つけられない。驚くなかれ、車内のビビり音も消えた。スプリングとブッシュを交換し、ボディに伝わる微震動も周波数が変わったのだろう。
忘れちゃいけないエアフィルタ交換。親切なクルマ仲間おふたりから頂戴したり購入したりした、TEZZOブランドのMiTo用エアフィルターとホース、2セットがあったのだが、あれこれニコイチで無事取り付けられた。MiTo 1.4T SportでやはりTEZZOのフィルターへ交換した際には、2,500rpm付近から効果を体感できた。プントエヴォのマルチエアエンジンの場合、2,800rpmくらいから変わる。おそらくこれは、ターボのインターセプトポイントの差だろう。つまり空気流入量が大きくなったことで、ターボの仕事がより鮮明になったのだ。これは楽しい反面ターボラグが強調されることとも同義で、一番期待していた2,500rpm以下の、エンジンのちょっと眠たい仕事っぷりの改善にはならなかった。その部分はスロットルコントローラーやチップを導入するしかあるまい。

だがそれよりも3,500rpmより上のエグゾーストサウンドが変わった。まさにカタカナで「グォォオオオオ」という、野太い系のサウンドに変身した。マフラーのどこかに穴が空いたのでは?と運転席で耳を澄ましてしまった程だ。これ、やばいです。そりゃその音を聴きたくなりますんで。
今回書いた、特にスプリングとブッシュの働きの印象については、タイヤの影響も大きいはずだ。ミシュラン パイロットスポーツ4からブリジストン アドレナリンRE003へ。第一印象としてグリップ能力が上がった分サイドウォールが強情に突っ張る感触をおぼえないわけではないが、これはもう少し走ってみないと結論を出せない。そうではあるが、このエントリーでは当初目的だった不必要な車高ダウン、入力処理悪化、直進性悪化の3点について以下のように結論をくだす。
大勝利であります!