栃木県足利市に赴き、下道だけで帰ってきた。396km、10時間のソロツーリング。2020年の病気療養以来体力が落ちてしまい、いっきに長時間・長距離を走ることに不安を抱いていた。腰や膝が痛くなったりしたが、無事走ることができた。もう大丈夫。
なぜ足利市かというと、息子が4月からそこで暮らすからだ。本人はもう引っ越してしまったが、実家に残留していた荷物を運び、家具組み立てや配置の人足としてこき使われるために、念のため一泊する日程で出向いた次第。ところが到着してみれば、いろいろ段取り不足や計算違いがあって作業を手伝えない・手伝う必要がないことが判明。開き直って2日目は移動日として、今回の企画と相成った。ちなみに往路はE4東北自動車道とE50北関東自動車道の組み合わせで4時間ぽっきり331km。那須高原SA(上り)で桜を見ながら飲んだコーヒーが美味しかったこと以外に、往路については特に書くことはない。
E4 那須高原SA
前日夜はいっしょにご飯を食べました
さて今回のコースをテキストでご紹介しよう。足利市から群馬県桐生市へ抜け、R122で日光を目指す。日光からはR121をひたすら北上し、南会津、そして会津若松市へ至る。無料のナイス自動車専用道路で福島県喜多方市へ入り、R121で山形県米沢市へ。高畠町から宮城県七ヶ宿町へ抜け、遠刈田温泉、村田町を経由して仙台市内の自宅へ。GoogleMapで検索すると、約369km、ざっくり8時間の旅程である。あんなに遠いと思っていた足利から400km、8時間で仙台に着くと考えれば、必要以上にビビる必要はないと自分を鼓舞。
当日は朝7:30頃にホテルの駐車場を出発。最悪の天気予報だったが、明るい曇り空という感じ。どこで降られるかの勝負だなぁ。休日の朝だというのにそれなりに交通量はあって、あまりペースが上がらない。地元の詳しい人が走る細い県道とか、抜け道脇道の類は今回一切使わず、3ケタ国道の連続技で喜多方まで抜けるつもりなので、ある程度のスローペースはやむを得ない。そもそもナビを使わずに、勘で走っているのだからびゅんびゅん飛ばせるわけもない。
あぁ、さくらが……
桐生市内から郊外へ抜けると、徐々に標高が上がっていく。この桐生・日光間のR122は素晴らしいワインディングで、特に草木湖の前後はたまたま前走車もおらず、すっかりマイペースで走ることができた。この辺は山桜ですらすでに満開で(足利市内は前日が満開だった)、左右の山々のピンクが、まるでそこだけがカラーになっているかのような鮮やかさで、目にまぶしかった。
道の駅くろほね・やまびこにて
峠を下るあたりからとうとう降り出した。強くはないがしとしとしと、という感じ。この辺りでは頭を押さえる前走車もおり、安全運転で下る。途中給油したガススタンドのご主人に「今日は寒いんですか?」と訊いてみると「寒い、ですね!」と断言。
ENEOS神戸SS 新井商事(有)
群馬県みどり市東町神戸398-1
雨雲のせいでどんどん暗くなってきたところに、鉱毒事件で有名な足尾銅山跡へ差し掛かる。雨に煙る銅山や周辺地域の、山に入る人たちの住居だったろうかつての家々の廃墟とか、なかなか鬼気迫るものがあるぜ。足尾を通り過ぎると今度は日光街道である。こちらは一転して雨なのに観光客がぞろぞろ歩いていて驚いた。さすが神君家康公と能天気に言えない社会情勢ではある。鬼平と書いて「きびら」と読む水ようかん本舗に発作的に入店しておみやげ第一弾を購入。またここんちの水ようかんが滅法おいしくて大勝利である。だいたいこの辺までで出発から2時間。思ったよりペースがいいね!
声に出して読みたい日本語
ザ・スポーツ
セリカ・スカG・フェアレディ
鬼平の羊羹本舗
栃木県日光市中鉢石町898
引き続き雨の中を鬼怒川温泉経由南会津への道を北上し始める。この辺は温泉街だらけだ。途中の道の駅で細かく休憩を取り始める。それぞれの道の駅に興味深いコンテンツはあるのだが、ちょうどこの頃の降雨が一番強く、降りてぶらつく気になれず。陽のあるうちに帰宅するという意味ではそれで良いのだが、もったいなかった。
当然下までは降りませんでした
道の駅たじま。
この辺りでの雨が
一番酷かったかも
そんなこんなで11:30。そろそろ食事をしておこう。福島県に入り、会津荒海という土地を走っていたら、蕎麦屋の看板が目に入り反射的に入店。GoogleMapには産直販売店としか書かれていないが、店内は完全に蕎麦屋。どうもおばさんふたりで営業しているようだ。店内の雰囲気やメニューの字面からはアタリハズレの判断が難しい。迷ったあげくにもりそばを注文。いざ出てきたら別皿にアスパラと小さいやさいのかき揚げ(精進揚げか)が。「あれ?もりそばをお願いしたんですけど……」「これ、おまけ。食べてください」。こういうのに筆者は弱い。大喜びの反面、潰瘍性大腸炎患者の筆者が天ぷらなんか食べて大丈夫だろうか……?いや、大丈夫なわけがない。だがこの局面で「病気で食べられないんです」と突っ返すことが君にできるか?オレにはできないっ!ということで食べる決心をする。が、まずはそばだ。ひとくちたぐってみる。至極まっとうな二八そば。そばの実の素性の良さが伺える正直な味だ。そばつゆもあっさり目で変な主張をしない系。つるつると立て続けに3口くらい食べてしまった。んまい。問題は天ぷらだ。アスパラを一口、おお!油の味だぜぇ!うめえ。思いがけず400日ぶりくらいに天ぷらそばを食べることになったのだが、しみじみうまい。天ぷらそばってのはうまいもんだなぁ。あまりにも久しぶりなのでバイアスがかかっている可能性があるが、大満足である(腸にも致命的なダメージは受けなかった)。お礼を言ってお金を払う。お店の外はリンゴ畑。気持ちの良い土地だ。お店のおばさんふたりも感じが良かった。必要以上にべたべた話しかけたりしないけど、質問したりお礼を言うと、ちゃんとこっちの目を見て話してくれる。すっかりいい気分になって退店後お店の外観写真など撮っていたら、ベントレー コンチネンタルGTが1台、プン太郎の隣に滑り込んできた(あの巨体なのに本当に滑るように動くのね、あれ)。見れば品川ナンバー。東京からわざわざ食べにくる人がいるお店だったのか……。
荒海農産物直売所
福島県南会津郡南会津町中荒井上原79
もりそば 700円と
おまけの天ぷら2種
後編へ続く