唐突だが筆者の自動車遍歴を書いてみようと思う。これまで詳しく書いたことがないのには理由がある。そもそも20世紀の筆者は、自動車に対して強い興味や思い入れがあったわけではなく、「男子の嗜み」程度にしか接してこなかった。今とは別人28号だったのだ。人格豹変のきっかけは2002年にプジョー 307SWを新車で購入したことなのだが、それ以前ことはブログのプロフィールでさらりと書いただけでスルーしてきた。だから1987年から2002年まで、運転免許証を取得した19歳から34歳307SWまでの車歴は支離滅裂だし、知識も愛着もないから仕様的な詳細も覚えていない。クルマに興味のない人ならそれでなんの問題もないが、よりによってこれまでこのブログで再三に渡り「クルマ好きを自認」とか、試乗記という名の感想文などを垂れ流してきた筆者の場合、その車歴の支離滅裂っぷりは、もはやアイデンティティに関わるとすら言えるのである。
そんな筆者の黒歴史を、なぜ今さら晒すのかというと、20世紀最後の15年くらいの国内の自動車模様の一端くらいはわかるものになると思うからである。今思えば、1968年生まれの筆者は、いわゆるバブル景気が弾けて冷えていく課程を、リアルタイムで体験してきた世代と言え、こと自動車に焦点を絞ってもそれは同様である。その側面から楽しんで(?)もらうことはできるかもしれない。読者諸姉諸兄からの思い出コメントなどがいただけると、ルポ的な側面がより強化されると思う。
さて、そういう前提で以下書き進めるつもりだが、筆の進め方をあらかじめ書いておく。筆者は19歳で運転免許証を取得し、これまでに8台の自動車を所有してきた。が、自分のクルマを持たずに家のクルマを乗り回していた時期を含めれば、経験台数はさらに2台プラスすることになる。前述のとおり輸入車に乗るようになる前と後では、自動車ライフに天と地、サルと人ほどの差がある。そこで自分のクルマを持っていない「有史以前」、特にスピリットもなく漫然と自動車選びをしていた「前史」、輸入車を乗り継ぐようになった「近代」と、3つに分けて振り返ってみたい。当然今回からエントリーしていくのは「有史以前」と「前史」の部分である。「近代」についてはプロフィール欄をお読みいただければ事足りる。そして有史以前と前史に関しては、申し訳ないが所有年を書くことができない。覚えていないのだ。
●有史以前●
1.日産 スカイラインセダン PC110型系(1986年頃)
筆者の免許取得時に家にあったのは日産 スカイラインである。スカイラインとしては異例の6分割リアストップランプだったモデルだから、4代目のセダンモデル、PC110型であろう、多分。これはスカイラインばかり乗り継ぐ伯父がいて、手放すタイミングで我が家に譲ってもらったもの。マニュアルトランスミッションだったが、4速だったか5速だったか思い出せない。また走行距離などのデータもまったく覚えていない。正月早々プラグの失火が起こったり細かいトラブルがあったと記憶している。今思えば特に愛着もなく整備もまったくしていなかったのだろう。パワーステアリングもなかったのかもしれない。思い返してもなにもかもが「なんだか重いなぁ」という印象があるだけだ。もしかするとあれが排ガス規制対策下のドン亀状態というヤツだったのだろうか。

とにかく時間があればクルマに乗りたかったが、路上に出る瞬間はすごく緊張するというアンビバレンツを毎日体感していた。今思えばあの葛藤も懐かしい。またその後のスカイラインとは別物のようにボディ外寸も小さかった(全長4,460mm×全幅1,625mm×全高1,385mm。全長は3代目プリウスと同じじゃん)。18、19歳の、免許取り立ての野郎っこでも乗りこなせるほどだったのだから。
※タイトル背景もスカイライン本体も、気の利いた1986年頃の画像を所有しておらず、背景画像は「八木山放送局net」なるウェブサイトから、スカイラインはネット上の回顧記事中から拝借した。