家のクルマを親の都合に気を使いつつ運転していた有史以前はパルサーで終わりを告げた。自分のクルマを購入することになった「前史」について書いていこう。
●前史●
3.ホンダ シティターボ AA型系(1988年頃)
いいかげん自分のクルマが欲しい!ちょうど職場のT先輩が中古の初代シティターボを買わないか?と持ちかけてきた。なんと10万円ぽっきりで良いという。薄給だった自分にもそれなら買える!と盛り上がり、とうとう「我が愛車」を手に入れた。おそらく19歳からハタチになる頃だったはず。もちろんこいつには思い出がたくさんある。
①名義変更してなかった事件
筆者もうっかり者だが、自動車の売買に名義変更という手続きが必要なことすら知らなかった。実家近所の路地に数日路上駐車をしていたら、たまたまその道路に工事予定が入っており、元の持ち主にガンガン移動催促が行っていたという。その元の持ち主がT先輩だったら話は早かったのだが、督促をかけられた元オーナーとはT先輩の当時の彼女さんで、お詫びしに行ったら先輩ともども怒られた(笑)。当然である。
②ラジエター治してない事件
当時まだ付き合っている状態だった家人と蔵王にドライブデート(笑)をキメた時、上り坂の途中でエンジンルームから白煙が!見ると水温計が振り切っている!これは噂に聞くオーバーヒートに違いないということはわかったが、その理由も理屈もわからない。蔵王エコーラインの週末大渋滞の中、ボンネットを開けたまま道端にシティを停め(今思えばおそらくすみかわスノーパークの入口だろう)、水温が下がるのを待つ間、視線を浴びまくった。あとでT先輩に訴えたらニヤリと笑いつつ「悪ぃ、電柱にバンガリぶつけたことがあってや、金かかっからガワだけ治してラジエター放っておいたんだ」と告白を受ける。ちなみに「バンガリ」とは仙台弁で「がっつり」などの意味である。先輩、頼みますよ(泣)。家人は蔵王エコーラインを走ると、いまでもこのオーバーヒートのことを言う。それはT先輩に言ってくれ。
奇跡的に発見されたオーバーヒート事件当日の写真
③スタッドレスタイヤって何?事件
冬季、今ほど積雪の少なかった仙台とは言え、一応は雪国である。ワンシーズンに合計1週間程度は市内の交通がマヒするような積雪は当時でもあった。しかしハタチそこそこの高卒男子の給料でホイホイとスタッドレスタイヤが買えるわけがない。買って最初の冬は、まるまるノーマルタイヤで過ごした。泉パークタウン入口の大交差点で盛大にリアを流しながら右折した赤いシティターボは私です。
④ガソリン溢れ出し事件
近所のガソリンスタンドで満タンにしてもらい、颯爽と走り出したのは良いが、次に停車した時にふと給油口を見てみたら、ゴボゴボとガソリンが溢れてきているではないか!めちゃくちゃ危険だったことよりも、ようやく満タンにしたハイオクが無駄にこぼれ出てしまったメンタルダメージの方が大きく、その足でGSに取って返してコンプレイン。継ぎ足してもらいました。ちなみにGSの店長の言い分では、「もうキャップが甘くなっちゃってますよ」。当時セルフ給油スタンドは仙台には皆無で、自分でキャップの閉まり具合を確かめることもなかった。
他にもあったような気がするが、それでも移動の自由を手に入れた歓びの方が大きかった。某地方都市の短大に通う家人のアパートまで片道120km/3時間を通ったものだ。まるで地の果てに行くような気がした。今ではプン太郎でひょいひょい出かけるその街を通り抜けるたびに、シティターボのフロアから伸びた長い長いシフトノブを思い出す。