
こうやって真横から見てみれば、やっぱり前輪は必要以上に沈んでいる……ように見える
2020年夏、正確には6月に右前輪のスプリングが破断するという、フィアット車両としてはレアな一件があった。左右の反応が変わってしまうのがイヤだったので、前輪のみどちらも新品純正品に交換した。監修と作業は例によって正規ディーラーである(株)イデアルさんにお願いしたのだが、その際ショックアブソーバーのヘタリについても相談した。いくらレアケースとは言えスプリングが破談するほど疲労が溜まっていたわけだし、当然ダンパーもそれなりに劣化しているはずだと考えたのだ。しかし目視でオイル漏れなど認められないこと、ダンパーが死ねば明らかに体感できる(それからでも交換は遅くない)ことの2点を以て、スプリングだけを交換するに留めた。

それから半年程度しか時間が経っていないのに、路面からの衝撃の丸め方が明らかに不足している。なにか、足周り全体がつっぱっているような……。スプリングが新品である以上、劣化の正体はダンパーであろう。筆者の毎日の通勤コース中の舗装が荒れている部分や段差の継ぎ目、走り慣れた環境でつっぱり感を覚えるのだから、実はけっこう進行している状況なのではないか。
我がプン太郎の出自についてはこれまでにも何度か書いているが、2011年から2017年までの前オーナー時代の7年間で、わずか25,000km程度しか走ってこなかった個体である。このエントリーを書いている4月中旬で83,000kmがメーターに刻まれている。つまりそんな箱入り息子が3年半で6万km弱も突然走らされているわけだ。タイミングベルトもそうだったが、劣化進行が加速しても仕方ない乗り方と言える。もっとも故障が理由で入院したのは、件のスプリング破断だけという頑丈さは特筆に値するのだが。
劣化をはっきり認識してしまうと、どこかへ走りに行っても心の底から楽しめない。もののわかった人が「珍しいクルマに乗ってるね!ちょっと運転させてもらえないかな?」と声をかけてきた時、「どうぞどうぞ。なかなかいいクルマだぜ」と断言できないのがツライ。フィアット/アバルト プントエヴォに搭載可能な社外品ダンパーをネット上で探すものの、結局は(ネット上では)お馴染の関東圏の有名ファクトリーのサイトに行き着くのがオチ。いよいよイデアルさん以外のファクトリーにも面倒を見てもらうべきタイミングなのかも……と考えている。