福島県は飯舘村へ行ってきた。楽しみはふたつある。福島県中通地方の野趣溢れるガラガラに空いている県道、そして飯舘村のカフェ「村カフェ753(なごみ)」のベーグルである。良く晴れた晩秋の平日のある日、プン太郎を駆ってひとりで走ってきた。
飯舘村は今年の6月が初訪問。村内の美しい景色に感激した。
2021年6月9日 C3で行く!福島県飯舘村にうまいベーグルあり
今回は6月の時とは逆方向から、つまり福島県伊達市方面から南下し、西から飯舘村へ回り込む。
順を追って書こう。自宅を9:30に出発。仙台市太白区坪沼を経て村田町へ。晴天で気持ち良い。村田町から宮城県最南端の白石市へは広域農道コスモスラインを下っていく。いつもは誰も走っておらず、マイペースでタコメーターの盤面掃除ができるのだが、この日は3台も前走車がいるという異例の事態。当然ペースは遅い。当方少々寝不足気味だったので、アイドリングのつもりで大人しくその後ろを走る。
菅生サーキットの近く
蔵王連峰をあおぐ村田町内の定点観測地点
白石市街地へ入りJR白石駅の東北新幹線高架をくぐりK106へ。さぁこのK106、そしてつづくK105が楽しい山道である。細く曲がりくねった道、急なアップダウン、現れては消える農家や畑、文化財級の旧い建物……。アバルト プントエヴォが生き生きと走る道の種類はいくつかあるが、筆者的トップ3間違いなしの素晴らしい里山風景である。
いったん阿武隈川に突き当たり、R349を少しだけ伊達市方面へ走り、橋を渡って川向いのK104へ。丸森町への定番コースを今日は逆行。それも新鮮。伊達市梁川の直前で名も知らぬ市道(?)へ入り、いつの間にか「梁川希望の森公園」に。園内の極細ワインディングを不安な気持ちで下ったが、無事にK31へ合流。いらぬ遠回りを避けようとGoogleMapを折々に確認しつつ走るのは善し悪しであるなぁ。その後ふらふらとK31からK149やR115を経てR399へ。このR399も良かった。そしてK12へ合流。あとは東に進めば村カフェ753はすぐ左側に佇んでいる。
時は12:30。6月と同じく到着するなり店内からご主人が出てきて、「もうほとんど売れちゃったんですー」と謝られた。ま、これは想定内。ひとつでもふたつでも買って帰るつもりだったので、その旨を告げてお店に入れてもらう。それでも我が家へのお土産には充分なくらいの数があって一安心。753は午後に事前注文分の宅配をやるので、おそらく配達時の不意の追加に備える必要があるのだろう。残部を買い占めしてしまうのも憚られる。プン太郎のナンバーを見たらしいご主人が、仙台の長町にもおいしいベーグル屋さんがあるそうですね、と声をかけてくれる。それなのにわざわざ仙台から、というわけだ。筆者、そのお店を知らなかったが、ひとつだけ言えるのは、これまで食べてきたどのベーグルよりも753のそれはおいしいということだ。そんな返事をしたらご主人は感激してくれて、ひとつおまけしてくれた。恐縮である。
あれこれおしゃべりして、あとは帰るだけだと告げると、それならぜひ真野ダムの紅葉を見て行くといい、とご主人が薦めてくださった。飯舘村よりも若干標高の低い真野ダムは、この日がまさにドンピシャの紅葉日和だという。そのまま南相馬方面に抜ければ高速道路もあって帰路選定も楽になる。義を以て応えるべく、K12をさらに東に向かう。
753ご主人おすすめの「いいたて快適だ道」を走るべく、K12石ポロ坂トンネルの直前で左折する(この左折だけ少し難しい)。ここがまた素晴らしいワインディングで(名前はともかく)。そして753ご主人の言のとおり、道々紅葉が色づいていくのがわかる。
やがて真野ダム(はやま湖)へ。なるほど美しい。紅葉の盛りと言うにはちと早かったようだが(笑)。気温は20度近くになり、窓を少し開けて湖畔の道をゆっくり走る。管理事務所近くの駐車場にプン太郎を停め、湖と山々を見ながらベーグルで昼食。静かだ。そして753のベーグルはやっぱりおいしい。
相変わらず帰路のプランはない。このまま南相馬市を横断して、海沿いの県道などを北上するという手もあるが、震災後に盛土とともに整備されたそれらの道は、ひたすらまっすぐ過ぎて眠気を誘う。ここはお金で時間を買うことにしよう。E6東北中央道に乗ることにしてプン太郎のエンジンに再度灯を入れる。真野ダム管理事務所前のK268を東に進めば良いだけなのだが、なんと6月に邂逅して大興奮した「栃窪簡易郵便局」は、この道沿いだった!蔵を改造した簡易郵便局。その重厚な外観は見応えたっぷり。宮城県栗原市の姫松とこの栃窪の簡易郵便局のレトロな佇まいに家人はすっかり魅せられてしまい、簡易郵便局激写ツアーを夢想していたほどだ。
最近では板碑を見つけると一緒に写真を撮ってしまう
蔵で営業する栃窪簡易郵便局
K268をそのまま東進して南相馬鹿島SAのETC専用入口からE6へ。仙台南有料道路とE4東北自動車道を経て仙台宮城ICで降りる。インターから20分ほどで帰宅。
5時間半/241km
753ご主人によれば、飯舘村の本格的な降雪は12月半ばからだそうだ。753のベーグルと一体で魅力を醸す福島の山間の県道は、これからの季節、プン太郎やC3にはちと荷が重い。来春までは通販で楽しむとしよう。福島県や宮城県南部にお住まいのヘンタイ諸姉諸兄は、なるべく早く飯舘村方面の走り納めをしておくことをオススメする。今なら紅葉も美しいですよ。