宮城県内の探訪を続けている。行き尽くしたと思い込んでいた宮城県内だが、実はこんなに楽しかったのか!と、(自分にとって)新たな魅力に驚いたり喜んだり。今回は宮城・秋田の県境にある鬼首(おにこうべ)である。どうして鬼首かという説明が必要だと思うが、非常に個人的な話なので割愛する。要は晴天時の美麗な山間の景色を見てみたくなったのだ。
もっとも印象的だった鬼首行はこちら
旧クルマで行きます「プン太郎で行く!鬼首で夜明けを待つ」
上記エントリーのコメント欄をきっかけに出かけたK63でギャー!な記録
旧クルマで行きます「プン太郎で行く!鬼首に魅惑のパノラマあり」
9時過ぎに自宅を出発。例によって幹線道路たるR457やR47は極力走らず、色麻町から山中を縫うように走るK226、K267を走破して川渡温泉へ。この区間はGoogleMapで示そう。毎度のことながら、B/Cセグメントの鼻先が敏感な車両で走ると笑いが止まらないコースである。北上しても南下しても美味。
上掲地図A地点から
すぐの農道・定点観測
川渡温泉からはR47へ、鳴子温泉を通り過ぎてR108へ乗る。あとはひたすら北上するだけで鬼首だ。到着は11時を回っていた。春先の鬼首、いったいどんな色が見られるのか、K248から分岐する農道の道端へわくわくしながらプン太郎を停める。
見慣れた風景である。何度も何度もここには来たし、秋田からの帰路に走り抜けもした。しかしクルマを降りて自分の足で地面を踏み、空気を吸い込むとその情報量に圧倒される。なんという空の、山々の色だろう。上着は着たもののもう身を切られるような寒さはない。田はまだ雪に覆われている面もある。用水路に水がいきおい良く流れ、覆う雪は表面がざらざらとけば立っている(融けたり凍ったりを繰り返すとそうなる)。鬼首にも春が確実に近づいていた。この時期、様相は毎日変化していくだろう。良いタイミングで来ることができた。
さて今回の道行きのもうひとつの課題は昼食である。鬼首は鳴子温泉の一部でもあり、観光名所ということになっているが、名のある食堂、カフェの類いをとんと知らない。唯一のおしゃれスポットは「リゾートパークホテルオニコウベ」のレストランだと思われるが、ひとりツーリングの昼食としては過剰に贅沢である。この「鬼首おいしいお店探索」がこの日のもうひとつのテーマ。幹線道路たるR108と並走する旧道に入り南下しつつお店を探す。この旧道の寂れ具合は中々にグッとくる。前走車も後続車もおらず、法定制限速度で走りつつじっくりお店の看板を見定めることができたものの、飲食店はとうとう見つけられなかった(あっても営業しておらず)。
仕方なく鬼首温泉に別れを告げ、R108を鳴子方面に戻る。秋田方面に行かない場合、選択肢はこれしかないのだ。R108沿いにふたつ飲食店がある。ひとつは荒雄湖畔公園の対面に店を構える「食事処えんどう」。もうひとつは柏木原別荘地のすぐわきに佇む「食事処おふみ」である。うまい塩梅に空腹だった筆者が入店したのはおふみの方だ。これは勘としか言いようがない。真黄色の壁と朱色に染め抜いたのれんという、普段なら絶対入らない店構えのおふみは、しかしなかなか好ましいお店だった。ラーメンライスを発注。
食事処おふみ
(宮城県大崎市鳴子温泉鬼首柏木原50-3)
なにが好ましいって、この油の少ない澄んだ醤油ベースのスープがありがたい。潰瘍性大腸炎の筆者には何よりだ。しかもちぢれた細麺は筆者の好みにジャストフィット。意外やチャーシューは厚めでしかも醤油味がしっかりくっきり立ちあがる逸品。それだけでも充分うれしいのだが、いっしょに付いてきた漬物(たくあんを短冊に刻んで鋤昆布と和えてある)が滅法うまく、同じく付いてきた小さな冷ややっことこの漬物だけでご飯一膳を平らげられそうないきおいだ。供してくれたお店のおかみさんは「ごはん少なかったら言ってくださいね。おかわりサービスしますから」と申し訳なさそうに言う。そんなに大食いに見えたのか(笑)。写真の分量ならご飯1/3、ラーメンを半分も食べれば今の筆者は程よく満腹になってしまう。のだが、件の漬物や嬉しい誤算のチャーシューのスーパーチャージャーが仕事をしてしまい、スープこそ残してしまったが、完食してしまった。嗚呼。しかしあのおかみさんを前にして半分も残せるだろうか。これは病気の治療云々の前に人生観の問題である。奇跡の750円を支払って退店。鬼首方面でお腹が減ってももう心配いらない。次回はぜひ「豚ロース味噌漬焼定食1,100円」にチャレンジしたい。
あとは帰るだけだ。R47やR457を戻るのはあまりに退屈なので、禁を破って少しだけ山形県に越境し、K28最上町・赤倉温泉とR347銀山温泉方面を経由して、朝走ったK156へ戻る。王城寺原で定点観測。
赤倉温泉内
K28、尾花沢市立宮沢小学校付近。
奥の真っ白な山は月山か
同K28、
銀山温泉へ向かう途中に
東の空をのぞむ。
あの山脈を越えて帰るのだ
陸上自衛隊王城寺原演習場すぐわき。
実弾演習の大砲の音がリアルに聴こえる
5時間/219km
鬼首、おふみというふたつの選択がどちらも大当たりで、実に気持ちの良いソロツーリングとなった。年開けから大雪が(仙台は)降っておらず、山形の山間も幹線道路はすでに除雪が行き届き走行には問題ない。少し気が早いが2021年のツーリングシーズン開幕をここに宣言する。どなた様もご安全に。「事故らず・壊さず・捕まらず」のココロである。