荒れた舗装路でのプン太郎の足さばきが、購入当初の甘美な状態に戻ったことは確認できた。ではアライメント調整による直進安定性改善の結果はどうか?まっすぐな道を求めて、宮城県北は登米市米山町にある平筒沼(びょうどうぬま)までプン太郎を走らせた。
実は宮城県、探せば数kmに及ぶ直線路はある。登米のような広大な田園地帯に行けば、計画的に開拓された農地をつっきる道路は、呆れるほどに長い直線路なのだ。この日は途中までは伊豆沼に行く定番コース。大和町、大郷町から三本木町・美里町へ。お馴染のK15を東(石巻方面)へ。
この定点観測写真を撮影した時のアクラポヴィッチ話はこちらをお読みください
K15からK237へ右折し、東進する。このK237はR346を跨いで数kmに及ぶ直線部分があり、この日の主目的である。ハンドルを握る手の位置を変えたり、握る強さを変えたり、片手保持してみたり。うーん。平和である。メンテナンスの報告エントリーでも書いたが、プン太郎の直進の魅力は、いつでも軽やかに曲がり始められる予感に裏付けられた「機敏な旋回性を担保していること」だと思う。それは中立付近のハンドルの所作を観察すれば誰でもわかるはず。農道なので路面はそれなりに荒れているが、そういう不整に神経質にハンドルが取られるわけでもない。「直進することに意識を割かれずに済む」とも言える。プン太郎購入当初、「アバルトは全部ハンドリングマシーン」という誤解の下で日々走り回り、機敏な旋回にいつでも移れる直進に驚くとともに、「アバルトなのに直進がこんなに気持ち良いなんて!」とじわじわ喜んだ記憶が蘇る。あぁ、本当に嬉しい。
ちなみに走るたびにK237のまっすぐっぷりには感嘆してしまう。ここ、深夜にスーパーカーで走ったら300km/hが達成できるんじゃないだろうか。R346の交差点があるから無理かなぁ。
直進に感動しつつ無事に平筒沼に到着。ここは昨年kikuchi大先輩から教えてもらった。桜の名所とのこと。南からアプローチすると、まず現れるのは「平筒沼農村文化自然学習館」である。この手の小さな自治体が作った資料館的なものが大好物の筆者、迷わず駐車場にプン太郎を停める。老人会のパターゴルフ大会(?)が開かれており、大賑わいで駐車場は満車だったが、資料館の中は静か。民俗資料として釜神像が大フィーチュアされており、資料室の大半が古民家から収集した釜神様たちだった。趣深い。2階には展望室もあって、沼の北を眺めると橋や大きな建物が小さく見える。そっちにも行ってみよう。
そもそも平筒沼のことは2020年春にkikuchi大先輩からいただいたコメントで知った。桜の名所だという。なるほど沼のほとりには桜並木が続く。加えて一帯はふれあい自然公園として整備もされている。渡り鳥の寄宿地でもあるのだ。“四季を通じて自然に触れ合える平筒沼”とは書いていなかったが、そういうことだ。仙台から遠足気分で訪れるには程よい距離と規模だと思う。来られてよかった。
帰路。家からさらに離れることになる北と東は選択肢から外す。この日はあまり走る機会のない登米から大崎市への田園地帯を走ってみることにした。平筒沼の北からK15に戻り西へ進むと往路で 跨いだR346にぶつかる。この米山町内のR346から、K198とK199を結ぶ田んぼの中の一本道へ。これがまた直線路(笑)。往路のK237よりも路面状況が良い。この直線でとうとう意識からハンドルの存在が消える体験をした。勝手にプン太郎がまっすぐ走っていく。ここに至ってアライメント調整の効果を最大限に理解できた。別途コメント欄でアドバイスをいただいたが、これ以上どうにかするならキャスター角調整の領域に入っていくのだろう。だが筆者には現状で充分魅力的な直進性能である。良しとしたい。
直進具合にうっとりして、どこをどう走ったのかよく思い出せない。ログも取っていなかった。帰宅後に必死で地図を辿ると、K15を戻ったようだ。そしてうっかり往路に戻りそうになったので、右折して蕪栗沼の南の農道(市道?)を西へ。あぜ道の彼岸花が美しい。
セブンイレブン大崎田尻通木店で飲みものを購入後さらに西南へ進み、見慣れたR108に合流して大崎市内(旧古川市街地)へ。このJR古川駅周辺の雑多な商店街の魅力について、つい最近DJ korter君と熱く語り合ったばかり。改めて現地に来てみると、旧い呑み屋街とロードサイド店が併存していたり、居酒屋と学習塾が隣接しているなど、「商店のるつぼ感」が著しい。こういうのは大好物。今度は家人を連れて徒歩で歩き回ってみたい。
街は魅力的だが道路は混む。クルマでは長居したくないのが旧古川市街地。じりじりと混雑する交差点をいくつか走り抜け、R4を跨ぐ。パレットおおさき、大崎市立病院の前を横切りR347へ。ここも陽の高いうちは走って楽しくない。早々にK158に左折し南下する。ここから先はもはや目を瞑っても走れるほど走り慣れてしまっている。三本木町ひまわりの丘を経てR457へ。陸上自衛隊王城寺原演習場の脇で定点観測、南川ダムを経由し帰宅した。
直進安定性をチェックできるなら行き先はどこでもいい……と繰り出した平筒沼だったが、特に収穫期の田園地帯が美しかった。このあたりは山方面が雪で走れなくなる冬季に、また来ることになるだろう。今回は予備調査としても意義深いものになった。
4時間/161km