現在は長男の愛車となっているマツダ ロードスターRS RHT(NC)が我が家にやって来た時に履いていたタイヤ、ブリヂストン ポテンザ アドレナリンRE003。長男の就職と同時にロードスターは我が家を離れたのだが、それが春先だったためスタッドレスタイヤを履いたまま旅立っていき、ノーマルタイヤは仙台に残されたままになっていた。ふと見たれば、そのサイズは現在プン太郎に履かせているミシュラン パイロットスポーツ4と同じ205/45R17だった。
長男の仕事は1-2週間から1ヶ月以上の長期出張が多く、たまの休日はロードスターに「乗る」のが忙しく、腰を据えて手を入れてやる気が起きないらしい。「あの純正ホイールとノーマルタイヤを送れ」と言ってくる気配が一向にない。RE003のキャラクターはロードスターを乗り回していた時にある程度把握しており、タイヤ置き場に死蔵するにはもったいないスポーツ系タイヤであることはわかっていた。プン太郎フロントのPS4にスリップサインが出始めたのをダシに、「あのタイヤ(RE003)、プン太郎にもらっちゃうよ」と長男に一方的に宣言して、この9月のメインテナンス時に履き替えることに成功した。履き替えてから1,000km以上走破したので、印象を書いておこうと思う。
ブリヂストンというメーカーの製品を、それと認識して使ったことが以前にいちどだけある。2018年にプン太郎を購入した時に履いていたのがポテンザRE050Aであった(正確にはプン太郎を購入したのは冬だったから、乗り出しはスタッドレスタイヤで、その後春先に履き替えてから)。
RE050AはBセグメント元気車両であるプントエヴォにジャストフィットなタイヤだった。ではアドレナリンRE003はどうか。ひとことで言えば、(RE050A比)存在を常に感じさせるタイヤと言える。その印象の大元を辿ると「重い」ということだろう。筆者のタイヤ評価軸は「グリップ能力」「直進安定性」「静寂性」とシンプルに3軸だ。評価の仕方がわかっていないとも言えるが。「重い」という印象がこの3要素のどこから来るのか。RE003は
グリップ能力
スポーツタイヤのような、粘着剤がアスファルトに粘り着くようなグリップ性能ではない。ではあるものの、FF車両が公道で出せる程度の速度域でのグリップ能力は充分で、筆者はまだスキール音を出したことがない。
直進安定性
PS4のアシンメトリパターンは、グルービング加工が施されている路面ではジキルとハイドのように突然接地性が低下するという弱点があったが、RE003にはそれはない。また、サイドウォールの動きによる設置面積の変位がより柔軟で、結果的に路面追従性を担保してくれている印象があり、それがRE050比の重厚さと感じられる。ゴムの厚みが1割増みたいな。前記した「重い」という印象は、どうもこのサイドウォールのキャラクターに由来するのではないか。
静寂性
可もなく不可もなく。スポーツ系タイヤとしては静かな方ではないか。筆者は棚ぼたで履かせることになったが、RE003に狙いを絞って購入したとしたら、このタイヤに静寂性はハナから求めないとも思う。だからRE003に静寂性云々と絡むこと自体が、あまり意味がない。
総合すると、日本の道路での実用性と運動性能が高いレベルで両立できていると思う。プントエヴォはそもそもフィアットブランドの実用車ど真ん中の車種で、それを自社チューンナップしたコンプリートカーの一種だが、こういう性格のクルマにぴったりだと思う。スズキ スイフトスポーツやトヨタ GRヤリス、アバルト 595なども同様。ただミシュラン PS4や同族RE050Aに比べると、全体的な振動周波数がそれよりも少し低く、故にタイヤが撓んでいる時間が長くなるのだろう。体感上、その動きの差を「軽い/重い」と判断しているのだと思われる。とは言えその印象は、空気圧を指定値よりも高めに設定することで変えることができる範囲だと思う。
印象をそういう風に言語化していくと、サスペンションの容量がもう少し大きなクルマの方に、より合うのかもしれないとも思う。アルファロメオならMiToではなくジュリエッタの方に。BよりもC,Dセグメントの車両の方に。今回はそういう勉強をさせてもらっていると判じて、次はやっぱりミシュラン PS4に……と考えたが、クセがないと定評のあるトーヨーにも興味がある。次はトーヨーかな?