タイミングを逸した夏休みを取得して、二泊三日の休暇旅行を敢行した。身体の骨休めを重視したのでイベントらしいイベントはない。家人と運転をシェアするためにシトロエン C3で出かけたのだが、この旅行でC3が大活躍したわけでもない。ブログではスルーしようかとも思ったのだが、読者諸姉諸兄のツーリングネタ帳の肥やしになるかもしれないので、記録しておこうと思う。
行き先は七ケ浜である。2021年元旦に走り初めとて七ケ浜町内を走っていて、偶然「SHICHI NO RESORT」を知った。
詳しくは公式ウェブサイトをご覧いただきたいが、海辺のホテルとカフェ、そして道の駅ならぬ「海の駅」を中心した、七ケ浜町の新しい観光スポットである。仙台から30km程度の七ケ浜町で、敢えてゴロゴロするだけの滞在というのもおもしろそうではありませんか。
まっすぐ向かえば90分くらいで到着してしまうので、ホテルへの道行きにいつもの休日に遊びに行く場所をここぞとばかりに突っ込む。まずは海とは反対の山方向、定義山、開店直後の「門前喫茶Norah」。ホテルは素泊まりなので食事を仕込む必要がある(ダラけるつもりなので、食材を買うわけではない)。コロナ対策期間のNorahでは、テイクアウト専用メニューに炊き込みご飯を追加配備した。ごぼうと鮭、里芋の2種を、滞在中の御菓子にカップケーキ(これも新商品)を購入。コーヒーをいただいて早々に退店する。
昼食は松島町のHarry's Junction。ここは自家製ハンバーガーとタコスを食べさせてくれるお店。店先でベーコンを燻している、と言えばおおよその魅力は伝わると思う。Norahからいったん仙台市泉区へ戻り、大和町・大郷町・東松島町などを経由する。定番のコースではあるが、東松島町内で品井沼へ折れる。以前偶然走ったコースを、初めて逆行してみる。この品井沼近辺は家人的には見どころ満載で、特に旧国鉄時代に東北本線用に造営したレンガ造りのトンネルに大興奮。
有名な神霊スポットらしいですが、霊感ゼロの筆者夫婦には単なる趣深い国鉄物件
昼時を過ぎてから到着したのに、Harry's Junction店内の空席はわずか。メニューは多彩だが、頻繁に通っている筆者は一巡してバック・トゥ・ザ・ベーシック。この日はチーズバーガーをオーダー。ただし120gのパティとチェダーチーズを追加。こうなるともはや片手では持てないボリュームとなる。おいしいハンバーガーは指と口の周りをケチャップやマスタードでベトベトにしながら食べるのが作法として正しい。家人はチーズマカロニバーガー。ひとくち食べさせてもらったら、想像の30倍うまかった。次回はあれに自家製ベーコンをトッピングしてオーダーしてみようと心に誓う。
ホテルのチェックインは15:00。ダラけることが目的なので、さっさとチェックインしてしまいたい。しかしこの期に及んでまだ我々には寄るべき場所がある。多賀城市のナイス洋菓子店にしてBMW乗りのトーマスさんの牙城、ピュイダムールである。ホテルでのんびりしながらピュイダムールのケーキを食べる……。想像するだに最高ではないか。午後の訪問となり、そろそろショーケースの中が品薄になりかかるタイミングではあったが、マリトッツォ、モンブラン、キャラメルサントノーレなどを買い込む。厨房(お菓子屋さんも厨房というのだろうか)のトーマスさんを呼び出してもらい、ごあいさつ。退店したらお店の外まで来てくださって、新兵器BMW M235i xDriveを運転していかないか?とのありがたいお申し出。M235iの印象は以下のエントリーに詳しい。
せっかくのお誘いではあったが、チェックインの時間が迫っていたので辞退した。また、あのようなクルマは様々な雑念を払って、本気で試乗しないと危ない。ケーキを抱えてようやくSHICHI NO RESORTへ到着。夕方に「海の駅七のや」におもむき、晩ご飯用に刺身などを購入。到着してから認識したのだが、敷地内にあるピザやパスタを食べさせてくれるSHICHI NO CAFEは、18時で一般営業が終わってしまい、あとは宿泊客の晩ご飯を各部屋へデリバリーするのみとなってしまう。素泊まりプランの筆者夫婦とは縁遠いカフェとなってしまった。
東向きの部屋の窓から夕暮れの太平洋を望む
食べるのはふたりなのに、どうしてケーキが4つもあるのかな?
二日目は南三陸さんさん商店街へ。どうせ海辺に滞在しているのだから、遊びに行くのも海辺がよかろう。奥松島を経由してE45三陸自動車道・鳴瀬奥松島IC。さんさん商店街直近のICは志津川ICだが、その手前の登米東和ICでE45から降り、閑散としたR398を東進。E45が開通したおかげで、かつてはノロノロ運転を強いられたR398が、素敵なワインディングロードに変身していることはかつて書いたが、何度でも書いておこうと思う。特に登米東和IC・志津川IC間は対面通行かつ道の駅三滝堂の出入口などもあって、はっきり言って自動車専用道路としての旨味は少ない。R398、オススメですよ。
南三陸で食事とくれば「三陸キラキラ丼」であるが、さんさん商店街の弁慶鮨を筆者は尊敬している。ランチタイムのおきまりで良いので、にぎり寿司を食べようと目論んでいた。が、この日は団体客対応で準備中の札がかかったまま。次善の策を家人に選んでもらい、食楽しお彩に入店。筆者はまぐろづくし丼、家人は秋旨きらきら丼を食す。おいしかったが、まぐろづくしではなく、もっといろいろ乗っかったヤツにすればよかった……というのが率直な感想である。退店して及善蒲鉾で晩ご飯のおかずを購入。
南三陸町から七ケ浜町までの帰路は意外にもバリエーションが少ない。さすがに志津川ICからE45を引き返すだけではつまらないので、R45を少し下ってみることにした。今から30年くらいまえ、若い頃は宮城県内陸の様々な道の知識もなく、海側はR45とR398を馬鹿正直に走るしか能がなかった。運転も下手だったから余計に疲労したのだろう、今でもそのふたつの国道番号を聞くと心のどこかでげんなりする。しかしもう違う。前述したR398も、R45も素敵なワインディングロードである(前走車のペースさえ良ければ)。今回戸倉からR45を堅持して内陸に進んだのも良かった。登米市横山は趣深い町である。
あまり深入りせず桃生津山ICから再びE45に乗る。ここからは往路とまったく同じ。七ケ浜町内で少し買い物をして、15時前にはホテルに戻る。基本コンセプトを忠実に実行し、またもや昼寝。最高。晩ご飯は及善蒲鉾の笹蒲や揚げ団子をおかずにおこわなど。食後はNetflixで映画「チャーリーズ・エンジェル(監督:エリザベス・バンクス/2019年)」を観賞。エラ・バリンスカ、かわいいじゃないですか。でも118分は長いな。
最後の日。10:00にホテルをチェックアウト。だがこのまま直帰したら昼前には家に着いてしまう。それではつまらないので、利府町・大郷町を抜けて、旧古川市街地で味わい深い建物探訪の寄り道をすることに。途中の県道は良いペースだったが、古川市街地は工事渋滞。ぼんやり前の車が動き出すのを待ちながらふと横を見ると、ラーメンの銘店富士屋古川本店(宮城県大崎市古川七日町4-34)がそこに。あーそうだそうだ、こないだ走った時も気付いたんだった。急きょ昼ごはんを富士屋のラーメンと決め、すぐ近くの専用駐車場にC3を停める。開店時間前だったので、周辺をぶらぶらしてから入店。
富士屋さんのラーメンはものすごく久しぶりに食べたが、たいへんおいしかった。カウンターはひとりで座る男性客ばかり。つまりはそういう猛者を相手にしているラーメン屋なのだ。手抜かりがあろうはずもない。チャーシューメン、ごちそうさまでした。
食後もう少しだけ周辺を歩き、帰路に着く。R398からK156へ折れ、三本木・大和町と進むいつもの道。食材の買い物をして14:00ころに帰宅。やはりクルマという視点からは大きなトピックのない旅行ではあった。しかし筆者にとって自宅ではない場所から遊びに行き、帰るのは新鮮な体験だった。何よりも朝目が覚めて海を眺め、夕暮れの海を眺め、波の音を聴きながら夜に散歩するのは贅沢な体験だった。年に1-2回やってもいいな。