クルマで行きます主催オフ会にて試乗の機会をいただいた。ありがたいことである。それぞれのインプレッションを書いてみよう。5台とも山形県山形市、西蔵王公園のまったく同じコースを走った。勾配の強い上り坂が数百メートル、高低差の少ないワインディングを数kmの往復である。この日の試乗体験は個別にアップしていく。
ざねさんのルノー メガーヌR.S. Sr.4
ざねさんは以前メガーヌGTに乗っていたが、今回はR.S.で登場した。さらっと書いたがすごいステップアップである。しかも以前は隣県福島県からだったが、今回は広島県からの参加である。オフ会を主催しておいてナンだが、常軌を逸している(笑)。余談だが今回のオフ会にはIDEALFAさんもメガーヌR.S.Sr.4、同じ塗色で登場され、しまの助さんのメガーヌR.S.Sr.3も加えて3台のルノー メガーヌR.S.が揃った。加えてA.Sudさんのルーテシアまで揃うという、珍しい光景を見ることができた。なにが珍しいって、これだけルノー車がいるのにカングーはいないという(笑)。
試乗はProfumo姐さん+しまの助さんペアの直後で、「違う人のインプレッションも聞いてみたいから」という理由でしまの助さんが助手席に同乗された。駐車場所からはまず左右にうねる急な坂道を登って行くことになるのだが、このごく短いセクションだけで、メガーヌが大変貌を遂げたことがいやでもわかる。例の後輪操舵だ。モードによって動作が変わるが、未確認ながら筆者の試乗時はスポーツモードだったと思われる(だって姐さんやしまの助さんがノーマルモードで走ったとは思えない)。となるとステアリング時、80km/hまではリアはフロントと逆位相で動く。その結果の体感として、鼻の入り方がものすごく鋭くなる。この俊敏さはおそらく後輪操舵独特のものだろう。最初はオーバーシュート気味に感じて、少し身構えてしまった。が、これほど進路の変え方が俊敏ならば、たしかに旋回時の速度を上げることができる。FFだからオーバーステアを気にしなくていいしな……などと呑気に考えていたが、例えばBMW車などはどんな印象になるのだろうか。
試乗コースは後輪操舵がものを言う場面だけでもなかった。一般のクルマに混じってユルユル走るような場面では、メガーヌの堅牢さを噛みしめることになる。その堅牢さをもっとも伝えてくるのは、ステアリングコラム周辺の高剛性感である。またハンドルから先のあれこれの動きそのものも、遊びと言えるようなものはほとんど無く、40-50km/hで流していると、そのがっちり感が非常に心地良く感じられる。また車体そのものも硬くなったようで、それはボディ外皮がというよりも、どちらかと言えば足周り-下周り全体の硬さ、シャシーの硬さのように感じられるもの。この剛性感と後輪操舵の俊敏さがセットになると、メガーヌのボディが1セグメント小さくなったようにすら感じられる。狭い道を速度を上げて走るようなシークエンスはほぼ無かったが、そういう場面でも持て余すようなことはないだろう。つまりSr.4は「俊敏に動く高剛性の殻に包まれた高速移動体」になっていたのだ。これは以前しまの助さんのSr.3に試乗させていただいた時には、感じなかったことだ(少なくとも言語化できなかった)。Sr.3で感じたのは「ひたすらウェルバランス」。Sr.4はもともと切れ味の良かったSr.3というナイフを、触れる前から切れてしまうほどに研ぎ澄ましたもの、とは言えないか。
動き出した瞬間に察知できる堅牢性も、その挙動を滲みなく実行するために必要だったのだろう。だからメガーヌR.S.という商品としては、これは正常進化である。一方でSr.3の持っていた一種の隙、フレンドリーさのようなものは薄まり、高性能で周囲を睥睨するようになった。ことここに至り、もはや3と4では目指すベクトルが異なると思わざるを得ない。頼れるアニキ的な3も、ひたすら性能に圧倒される4も、どちらもルノーじゃなきゃできない素晴らしい仕上げだ。この4に乗り慣れてしまうと、他のクルマは緩くて拍子抜けするだろう。その意味では罪なクルマである。ざねさんありがとうございました。どうぞご安全に。